ポリス解散の後、スティングが1985年にリリースした初のソロアルバムです。
ポリス時代と同じくレゲエのテイストを軸に、今までバンドで上手く表現出来なかったジャズのテイストを織り交ぜた楽曲が目白押しの、間違いなく「名盤」に値する一枚です。
普通だったらマニアックな内容になりかねないコンセプトを、誰でも分かるように仕上げたセンスも素晴らしいと思います。
また、ダリル・ジョーンズのベース、オマー・ハキムのドラムも素晴らしいです。
スティーリー・ダンの一連の作品にも肩を並べる出来だと私は思います。
そんなアーティスティックな面もさることながら、サウンド面でもとても素晴らしい出来です。
(当時)個人的にビックリしたのは、全体を通しての「低音の輪郭」です。
1985年、時代はアナログからデジタルに移行し始めます。
ALESISのADATが発売されたのが1991年(だと思う)。
当時のトップエンジニアリングチームが最新の技術を用いて最高の作品作りにチャレンジしたのでは?と、勝手に推測してしまいます。
マイケル・ジャクソンのスリラーとBADでは低域の輪郭が全然違うことからも、ここら辺りが時代の境目だったのでは?と推測する事が出来ます。
みなさん、ご自分でMIXやマスタリングをする際に、また、現場でお仕事をお願いする際に、ぜひこの「ブルー・タートルの夢」をリファレンスのひとつに加えてみてはいかがでしょう?
モニタースピーカーなどの作業環境を構築する際にも、このアルバムの細部や音場感がどこまで再現出来るかを基準にされると良いと思います。
デジタルを利用する理由が「利便性」ではなく「最高の音質」だった時代の、製作チームの夢と希望が凝縮されたこの音源を、今一度噛みしめるように聴いて頂きたいと思います。
新しい時代の日本の音楽が目指すヒントがここにはあると信じております。
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池田 佳則 公式ウェブサイト
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