私が未だ20代の頃の話です。
その日は自分のバンド以外でのライブでした。
半分遊びみたいな感じだったんですがステージはガチ、みたいなイベントでした。
「今日の俺、なかなかやるじゃん!ちょっと嬉しい♪」
そう思ってライブ後にひとりでカウンターでビールを飲んでおりました。
そこへ一人のベテランらしきミュージシャンの方がふらっと私に話しかけて下さいました。
今日の自分のプレイに対する感想をとても褒めて頂き、なんだか恐縮しておりました。
プレイのお話、楽器のお話、ルーツミュージックのお話など、とても興味深いお話をして頂き、時間はあっと言う間に過ぎました。
突然その方が、
「にいちゃん、今日は満足したか?」
と、私に問いかけました。
私はその方から褒められたばかりという事もあって。
「はい、いろいろ不満はありますが、今日はそこそこ満足です。」
と、お答えさせて頂きました。(勿論丁寧に!)
少しの間を置いて、私の目を見ながら一言、
「にいちゃん、もし満足したのならギター辞めろや。これ以上弾けないやろ。」
もう、完全にやられました。
恥ずかしくって穴があったら入りたい気持ちでした。
完全にやられて返答出来ない私に、
「そうやって満足して終わった奴、死ぬほど見て来たわ。よう考えろや。」
そう言い残して、その方は微笑みながら私に手を振って立ち去って行きました。
あの時の事は今でも忘れません。
でもその方はちっとも覚えてないでしょうね(笑)
命がけで取り組んでいる事に対して、満足した時点で成長は止まる。
多分、その方はそう言いたかったんだと思います。
今でもいつも、満足したらおしまい。そう思って音楽に対峙する毎日です。
でもいつか、音楽に満足して、ピースな気持ちでステージに立ちたい、そう思います。
さて、いつになる事やら(笑)
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