もう、言わずと知れたLed Zeppelinのファーストアルバム。
リアルタイムだった方々は「人生が狂った」と言われる方が多いですね。
(私は1967年生まれなので、発売から10年以上経ってから後追い掛けで知りました)
モータウンなリズム隊にトラディショナルフォークとブルースを混ぜ、今まで聴いた事の無いようなヒステリックなヴォーカルを正面に据え、「爆音」で調理したアルバム、っていうと暴力的でしょうか。
ロバート・プラントのスタイルは当時かなり「斬新」だった筈です。
そのスタイルに合わせ、バンド全体のサウンドを当時にしては「斬新な爆音」でまとめあげたこのチームは、今思えばクレバーだったのではないでしょうか。
音楽的歴史背景はググれば一杯出てくるので、キッズのみなさんは是非調べて下さい。
凄い時代なんですよ。
ロックの歴史に於いて、1960年代後半はまさに「黄金期」
ロックが「産業」として加速し始めたのは、実はこの時期なのではないでしょうか?
この時代の軸は「東西冷戦」と「リベラリズムに対する圧力」
いろんな文化がこれらから発せられたフラストレーションから始まった気がします。
1968年のアメリカで忘れてはいけないのが、キング牧師の暗殺、ケネディ元大統領の弟、ボビー・ケネディ氏の暗殺という、「リベラリズムに対する暴力」です。
また、チェコスロヴァキアでは「プラハの春」が起こり、多数の市民がソ連軍が指揮する「ワルシャワ条約機構軍」の戦車で轢き殺されたりしました。
そして翌1969年、ウッドストックが開催されます。
映画、「イージー・ライダー」「真夜中のカウボーイ」「明日に向かって撃て」などが世に出ます。
そんな時代にリリースされたこのZepの1stアルバム。
このアルバムに封じ込められているのは
- パワー溢れる衝動をパッケージングした素晴らしいレコーディング
- 一流の技術を持ったプレイヤーの演奏
- 新しい感覚のサウンドデザイン
- 時代のストレスを上手く読み取ったマーケティング
だったのでは?ってのが私の解釈です。
リベラルなメッセージが入っていなくとも、結局は時代を代表する、歴史に名を残す作品になりました。
ただ、「 Communication breakdown」というタイトルはちょっと毒を感じますが。
この作品は、アーティストが直接的なメッセージを発するのではなく、
人々のやり場の無いソウルを受け入れる箱を作ったのでは?
って気もします。
音楽やアートは少なからず
「時代の空気を反映」します。
直接的なメッセージは無くとも、この作品には「時代臭」があると思います。
では、現代はどうでしょう?
よく、
「今の音楽には何も感じない」ってご意見を伺います。
日本人だけでなく、海外の方々からも同じようなお話を伺います。
それを悲しむのもひとつ。
それを「事実」として認識するのもひとつ。
無意識の集合体が時代の匂い。
今日ご紹介したアルバムが教えてくれる事のひとつが、私はそれなのではないかと感じます。
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